STP分析とは
STP分析は、**セグメンテーション(Segmentation:市場を切り分ける)→ ターゲティング(Targeting:狙う市場を決める)→ ポジショニング(Positioning:立ち位置を決める)**という3つのステップで、商品・サービスの戦略を組み立てるマーケティングのフレームワークです。
市場全体に同じ商品を売ろうとすると、誰にとっても中途半端なものになりがちです。STP分析は「全員に売ろうとしない」ことを前提に、まず市場をいくつかのグループ(セグメント)に分け、その中から自社が勝負すべき相手を選び、その相手の中で自社がどう見えたいかを決める、という順序で考えます。
3C分析(顧客・自社・競合)で市場環境を把握したあと、その情報をもとにSTP分析で「誰に・どう見せるか」を決め、4P分析でその実行プランを組み立てる、という流れで使うと効果的です(3C分析の記事はこちら、4P分析の記事はこちら)。
どんな場面に向いているか
- 新しい商品・サービスを、誰に向けて作るのか決めたいとき
- 複数の顧客層があり、どこに力を入れるべきか絞り込みたいとき
- 競合と同じような立ち位置になっていないか確認したいとき
- チームで「この商品は結局誰のためのものか」を言語化して共有したいとき
サンプル図について
上のデモにある「STP分析」フォルダには、S→T→Pの流れを四角と矢印で示した全体像の図と、各ステップを詳しく描いた3つの図(STP分析-Step1〜STP分析-Step3)を用意しています。後述の「ThinkTrayでSTP分析を作る」のステップ1〜3に対応しているので、読みながらツリーで同じ番号の図に切り替えると、それぞれの詳細を確認できます。
- S(セグメンテーション) — テーブルカードで、5つの候補セグメントを年代・特徴・購入チャネルの軸で書き出した表(STP分析-Step1)
- T(ターゲティング) — 「市場の伸びしろ」×「自社との相性」の2軸マップに5つの候補セグメントを配置し、最初に狙うターゲットを選んだ図(STP分析-Step2)
- P(ポジショニング) — 「価格」×「個性・こだわり」の2軸マップに自社と競合を配置し、狙う立ち位置を言葉にした図(STP分析-Step3)
サンプルは、4P分析の記事と同じ架空のハンドメイド雑貨ブランド「つくる屋」を題材にしています。帆布のトートバッグやアクセサリーを作り、自社ECサイトとマルシェ出店で販売している、という設定です。実際に使うときは自分の商品・サービスに置き換えてください。
ThinkTrayでSTP分析を作る
ステップ1:候補となるセグメントを書き出す(S)
まず、想定される顧客層をいくつかのグループに分けます。年代・ライフスタイル・悩み・購入チャネルなど、意味のある切り口でグループ分けするのがポイントです。
ツールバーの「🪟 テーブル」ツールで表を作り、候補セグメントを列に、特徴を行に並べます。サンプルでは、次の5つの候補を書き出しました。
- 10〜20代 誕プレ層 — 学生で大人ほど自由になる予算はなく、親しい友人への贈り物を探す。SNS映えを重視する
- 20〜30代 ギフト需要層 — 慣れない社会人として忙しく、誕生日・記念日の贈り物を探しており、SNSでの見た目も重視する
- 30〜40代 実用重視層 — 家族関係の出費がかさむ中、長く使える定番デザインを求め、耐久性や素材を重視する
- 40〜50代 一点物志向層 — 少し落ち着いた生活の中で、既製品にない個性を求め、名入れなどのカスタムに関心がある
- 50代以上 過去の経験層 — 引退が見えてくる中、金額や品に見合った妥当な選択を重視し、贈る相手に合う無難な品を求める
この表はツリーの「STP分析-Step1」で確認できます。
ステップ2:2軸マップで候補を評価する(T)
すべての候補に同じだけ力を注ぐことはできません。「市場の伸びしろ」×「自社との相性」の2軸マップに、Sで書き出した5つのセグメントを配置し、最初に狙う相手を1つ選びます。
ラインツール(Lキー)で縦軸・横軸を引き、カードツール(Rキー)でセグメントのカードを軸に沿って配置します。サンプルでは、贈り物需要は伸びしろが大きく、SNS発信が得意な自社との相性もよいと判断し、「20〜30代 ギフト需要層」を最初のターゲットに選びました。同じくSNSとの親和性が高い「10〜20代 誕プレ層」も気になる候補ですが、狙いを1つに絞るため「別の機会に開拓も」というメモを添えるにとどめています。
この2軸マップはツリーの「STP分析-Step2」で確認できます。
ステップ3:狙う立ち位置を決める(P)
ターゲットが決まったら、その中で自社がどう見られたいかを考えます。「価格」×「個性・こだわり」など、ターゲットが商品を選ぶときに重視する軸を2つ選び、自社と競合を配置します。
サンプルでは、量産雑貨チェーン(低価格・量産的)とハイエンド工房(高価格・一点物)の間に、「つくる屋」を手頃な価格帯の一点物として位置づけました。最後に、その立ち位置を短い一文(ポジショニングステートメント)にまとめます。
「忙しい20〜30代に、贈りたくなる一点物を、手頃な価格で」
この一文を作っておくと、後で4P分析(商品・価格・流通・販促)を組み立てるときの判断基準になります。
この2軸マップとポジショニングステートメントはツリーの「STP分析-Step3」で確認できます。S→T→Pの流れ全体を見返したいときは、ツリーの「STP分析」(全体像の図)を開いてください。
コツ
- 候補は絞りすぎない — 最初から1つに絞ると、比較する材料がなくなります。3〜5つ程度の候補から選ぶのがおすすめです。
- ターゲットは「捨てる」ことでもある — 選ばなかったセグメントを否定する必要はありませんが、力の入れどころを決めることが目的です。
- ポジショニングは相対的に決める — 自社の特徴だけでなく、競合と比べてどう違って見えるかを意識します。
- 一文にまとめる — ポジショニングステートメントを短い言葉にしておくと、4P分析やチームでの意思決定がぶれにくくなります。
- 定期的に見直す — 市場や競合の状況が変われば、STPも書き直しましょう。
STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)は、Wendell R. Smithが1956年に提唱した市場細分化の考え方をもとに、Philip Kotlerが一連の分析プロセスとして体系化したと言われています。Wikipedia(フィリップ・コトラー)