特性要因図とは
ある結果(特性)に対して、それを引き起こしている原因(要因)をカテゴリ分けしながら洗い出す手法です。図の形が魚の骨に似ていることから、フィッシュボーン図とも呼ばれます。
- 一番右(頭の部分)に「結果」を置く
- 中央に太い背骨を引く
- 背骨から斜めに伸びる「大骨」に、原因のカテゴリ(人・方法・機械/システム・材料/情報など)を書く
- 大骨からさらに伸びる「小骨」に、具体的な原因を書く
ロジックツリーと似ていますが、特性要因図は最初から「カテゴリで分類する」ことが前提になっている点が特徴です。原因を思いつくまま書くのではなく、決まった切り口に沿って洗い出すため、視点の抜け漏れが起きにくくなります。
この技法の勘どころは、実は結果(頭)でも個別の原因(小骨)でもなく、大骨=カテゴリをどう切るかにあります。カテゴリさえ決まれば、小骨は「この観点で見た原因は?」と機械的に問えるので出しやすくなります。
どんな場面に向いているか
- 1つの結果(トラブル・不具合・停滞など)に対する原因を、モレなく洗い出したいとき
- 原因の種類が「人によるもの」「やり方によるもの」など性質の異なるものが混ざっていて、整理して見比べたいとき
- チームで原因分析の会議を行い、参加者ごとに視点が偏らないようにしたいとき
ThinkTrayでの作り方
ステップ1:右端に結果(特性)をカードで書く
カードツール(Rキー)で、分析したい結果を1枚のカードに書きます。
- 例:「問い合わせ対応に時間がかかる」
ステップ2:背骨を引く
ラインツール(Lキー)で、左から結果のカードに向かって太めの矢印を1本引きます。
- この線が「背骨」になります。線幅はコンテキストツールバーの「線:幅」から太くできます
ステップ3:大骨(カテゴリ)を配置する — ここが一番の勘どころ
背骨の上下に、原因のカテゴリを表すカードを2〜4枚配置し、背骨に向かって斜めの矢印でつなぎます。
ThinkTrayでは、ラインの端点をカードだけでなく別のラインの上に直接つないで接続することができます。多くの作図ツールは「線から線への接続」に対応していませんが、ThinkTrayではこれが可能です。背骨も1本のラインなので、大骨の矢印は背骨上の好きな位置に直接つなげられます。あとから背骨を動かしても、つながっている大骨がそのまま追従します。
特性要因図づくりで一番むずかしく、同時に一番価値があるのがこのステップです。頭(結果)は書きやすく、小骨(具体的な原因)もカテゴリさえ決まれば出てきやすいので、実はカテゴリ選びに一番時間をかけるべき技法だと考えてよいでしょう。
まずはテンプレートから始める
製造現場でよく使われるのが4M(Man=人・Machine=機械・Material=材料・Method=方法)です。さらに厳密に洗い出したい場合はMeasurement(測定・検査)を加えた5M、Management(管理体制)まで加えた6Mもあります。
ただしこれは製造業向けの型なので、そのまま使う必要はありません。自分の問題に合わせて名前を変えて構いません。 例えば接客・サポート業務なら「機械」より「ツール・システム」、「材料」より「情報・資料」の方がしっくりきます(上のデモも4Mを読み替えたものです)。
小骨が出てこないときはカテゴリを疑う
カテゴリを決めて小骨を書き出そうとしたとき、原因がまったく思い浮かばないカテゴリがあれば、それは「そのカテゴリがこの問題に合っていない」サインです。無理に埋めようとせず、カテゴリ名を変える・別のカテゴリと統合する・別の切り口に置き換える、を試しましょう。
迷ったら小骨を先に出してからカテゴリを名付ける(ボトムアップ)
どうしてもカテゴリが決まらない場合は、順番を逆にする手もあります。まず思いつく原因(小骨)をカテゴリを気にせず自由に書き出し、後から似たものをグループ化してカテゴリ名を付ける方法です(KJ法に近いやり方です)。
ステップ4:小骨(具体的な原因)を追加する
各カテゴリカードの外側に、具体的な原因を書いたカードを追加し、カテゴリカードに向かって矢印でつなぎます。
- 1つのカテゴリにつき2〜3個が目安です。多すぎると図が読みにくくなります
- 例:「人」カテゴリ →「対応スタッフの経験不足」「属人化していて代われる人がいない」
ステップ5:カテゴリごとに色分けする(応用)
カテゴリと、それにぶら下がる小骨を同じ色に揃えると、どの原因がどのカテゴリに属するか一目でわかります。
- カード選択時のコンテキストツールバーから塗り色・枠線色を変更できます
ロジックツリーとの違い
どちらも原因を分解して整理する図法ですが、使い分けの目安があります。
| 図法 | 向いているケース |
|---|---|
| ロジックツリー | 原因の分解が階層的にきれいに進む場合。深掘りを重視したいとき |
| 特性要因図 | 最初から「人・方法・機械・材料」のような決まったカテゴリで網羅的に洗い出したい場合 |
迷ったら、まず特性要因図でカテゴリごとに広く洗い出し、深掘りが必要な原因だけロジックツリーでさらに分解する、という組み合わせ方もおすすめです。
コツ
- 結果は具体的に書く — 「対応が悪い」のような曖昧な結果より「対応に時間がかかる」のように測れる書き方にすると、原因も具体的になります。
- カテゴリは4〜6個までにする — 増やしすぎると図が横に広がりすぎて見渡せなくなります。
- 小骨が出ないカテゴリは切り口を疑う — 原因が出てこないのは自分の視点が足りないからではなく、カテゴリの設定がこの問題に合っていないサインであることが多いです。
- 「なぜ?」を2回重ねる — 小骨の原因に対してさらに「なぜそうなるのか」を問うと、より根本的な原因にたどり着けます。
- 事実と推測を分けて書く — 「〜だと思う」という推測のカードは、色を変えるなどして事実と区別しておくと後の検証がしやすくなります。
特性要因図は、1956年に石川馨が考案した品質管理の手法です。Ishikawa diagram(石川ダイアグラム)とも呼ばれます。Wikipedia(日本語)